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アクセス・診療時間今回の記事では、患者様からもよくご質問をいただく、テレスコープシステムによる入れ歯の費用についてご説明したいと思います。
最近は、インプラントと入れ歯を比較してご検討いただく患者様が増えています。
入れ歯治療と言うと、昔の技術で、最近のインプラント治療に劣るのではないかと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
また、費用は入れ歯の方が安価だと思われるかと思いますが、決してそうではありません。
歯が抜けてしまった後の状態は、人それぞれ、歯を失った数や部位により、千差万別です。
それに対応するのに、インプラントがよい場合もあれば、入れ歯の方がよいこともあります。
・上下の歯がどの位置にあるのか?
・年齢・衛生状態・現存している歯の状態・顎の関節の問題があるか
など、ベストな選択は患者さんの口腔環境に左右され、費用もそれによって異なるのです。
日本には素晴らしい建物がたくさんあります。その建設には設計図があり、構造計算をして安全を確保しています。
口腔内の治療でも同じです。
特に入れ歯治療をする場合も、残っている歯に傷害がないことや、入れ歯が長期間機能するためには、顎関節と歯の誘導が対応している入れ歯の設計が重要なのです。
一般的な保険の入れ歯治療は、この考えがありません。
そのため、費用は安いのですが、不適切な金具で残った歯に傷害を与えてしまうことがあります。
⇒保険入れ歯のデメリットについてはこちらの記事もご覧ください:保険の入れ歯の欠点、デメリットをご存知ですか?
では、適切な入れ歯設計とはどのようなものでしょうか?
人間は、食べ物を咀嚼する時に、咬んですりつぶしで生まれる咬合力というものがあります。
この咬合力は、個人差がありますが、60~80キログラムを持ち上げるほどの力があります。歯が抜けてしまった方は、この咬合力を、入れ歯を介して歯や歯が抜けたところで受け止めて支持しています。
これは顎関節が筋肉により純粋に回転して起こる垂直の力です。また、下顎が左右に動いてすりつぶす特に発生する側方運動があります。
これは顎関節が回転運動をして、上下前歯から小臼歯同士まで下顎を横に誘導する側方の力です。これらの上下左右の動きの顎関節と歯と入れ歯の力の関係性を診査することを「静力学的設計」と言います。
日本の入れ歯の保険治療には、この設計がありません。
当医院の咬合診査では、歯科医師がこの「静力学的設計」をしています。
前置きが長くなりましたが、「入れ歯治療の費用は高いのか?」については一概に言えるものではなく、上記のように、医院で採用する治療方法(治療に関わる診査・材料・方法)によって異なります。
ここからは当医院での考えとなりますが、入れ歯治療の目的は、よく噛めて、食べ物を食道に送り込むことです。
そして、入れ歯の装着感が良く、残った歯への障害がなく、入れ歯が長期間使用することができ、見た目も良く入れ歯だと他の人から悟られないことが実現できることが理想です。
これを達成するためには、適正な診査・材料・方法が望まれます。
そのため、ひかり・歯科クリニックでは、以下の方法にて製作を進めていきます。
食事をすることは、顎関節が正常に機能し、口の開閉ができ、歯は食べ物を噛み、すりつぶして食道に送ることです。
そのため、歯のないところだけでなく、顎関節や筋肉や咬み合わせのバランスを診査する、以下の3つを行います。
・顎関節の画像検査(レントゲン・CT・MRI)と関節音診査・顎を動かす咀嚼筋の触診
・一般的歯科診査(虫歯・歯周病・唾液検査)
・咬合診査(咬み合わせの機能を器械で再現できる、入れ歯を設計するために最も重要な検査です)
顎関節や咀嚼筋の対応するように咬合器を使用し、診査診断をしています。
入れ歯が長持ちするかどうかは、この時点で決定すると言っても過言でありません。
義歯床、人工歯は、強度があり、衛生状態が保てるイヴォクラール社製のものを使用しています。
金属は、生体に安全な金合金とバイオコバルトを使用しています。(必要な方は、大学病院の金属アレルギー科で精密検査いたします)
3種類のテレスコープシステムを使用します。
歯の本数や神経の有無、年齢や衛生状態により、①②の診査結果から選択します。
詳細については、テレスコープシステムの説明ページをご参照ください。
このように、保険の入れ歯の製作とは異なる過程にて、入れ歯の製作を進めます。
また、テレスコープシステムによる部分入れ歯や上下顎同時印象の総入れ歯、咬合診断は、歯科大学では学ぶことができません。
世の中に出て、十分成果が立証された海外の歯科知識であり、習得をするために、多額の研修費用と時間を費やしています。
さらに、テレスコープシステムによる入れ歯を製作する場合、歯科医師による技術習得に加えて、熟練し、生体の機能を理解した歯科技工士との連携が必要となります。
テレスコープシステムの入れ歯を製作できる歯科技工士は限られています。
それは、日本の技工学校ではテレスコープシステムによる入れ歯を学ぶことができず、専門的な機関で少数しか教育されていないためです。
治療には、その知識を持った歯科技工士と歯科医師で綿密な計画を立てます。
歯科医師は、患者さんの情報を正確に得て、歯科技工士に伝え、精密に製作してもらいます。
そして歯科医師は、完成したテレスコープをその患者さんの生体に機能するように調節します。
治療後、加齢に伴う変化や破損が起こった場合は、その患者さん担当の歯科技工士が調整・修理にあたります。
歯科医師と歯科技工士は、互いの信頼関係の上に成り立っており、良きパートナーなんです。
加えて、患者様が入れ歯での治療の費用についてご検討いただく時に頭に入れておいていただきたいのが、長期的な視点です。
入れ歯は長期的に使用するものであり、もし壊れてしまった場合、もう一度製作しなければなりません。
一度の製作にかかる費用が安くても、何度も作り直している中で、費用がかさんできてしまう、という事例もあるのです。
私が管理しているテレスコープシステムによる入れ歯で、治療後約20年が経過しているものがあります。
道具としてのテレスコープ入れ歯はとても屈強で頑丈ですが、生体は加齢に伴い変化していきます。精密で頑丈なものを製作した後も、その状況に対応したメインテナンスを行うことで、長期間使用することが可能になります。
テレスコープシステムによる入れ歯は、診査から設計・アフターケアまで、その患者様に合わせた、オーダーメイド治療なのです。
入れ歯の製作についてお悩みの際は、上記のようなこともお考えいただいた上で、治療方法を決めていただくことをおすすめします。
千葉県松戸市 ひかり・歯科クリニック