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アクセス・診療時間先日「ハーモニックオクルージョン」と題したセミナーで、講師をしました。
「ハーモニックオクルージョン」という言葉、聞き慣れないですよね。
一般的に「ハーモニー」は「調和・協調」、「オクルージョン」は専門用語では「咬合」つまり咬み合わせのことです。この二つの言葉をかけ合わせた造語です。
実はこの言葉とても重要なんです。
前歯の治療のイメージがある「審美歯科」という言葉は、よく歯科医院の広告で見かけますね。
でも、私たち歯科医師が大学でその言葉で教育された覚えはありません(16年前卒業した私は少なくともありません)。
いつしか著名人が意図的に白くした歯が目立つことが話題になった頃から「審美」と使われるようになったように思います。
そして最近では、ニーズに伴い、歯のホワイトニングだけの専門医院が駅ビルに入っていたり、口元にボトックス注射を行い、見た目の改善を提案する先生もいるようです。歯科医療が多様化されて、患者さんの要望に沿うことができるようになることは喜ばしいことですね。
今回講師をしたハーモニックオクルージョンの講演は、前述のように前歯の色を白くすることや、使用する歯科材料についての内容ではないんです。前歯の表面の見た目と、奥歯と協調して咀嚼する裏側の機能について、歯が表裏一体であることを理解してもらおう、という内容でした。
前歯が作る笑顔は、その人を印象づけます。また、食事するときにはその前歯で食物を咬み切り、奥歯で磨り潰して食塊をつくり、飲み込みます。前歯は、この2つの重要な役割を担っています。
違和感のない笑顔は、前歯6歯の歯並びと歯の表面のバランスがもたらしていて、これには基準があります。
患者さんの歯の模型に基準線を引くと、左右差や形態の不正が分かりやすくなります(上図1枚目)。
また、人工的に修復した歯にもチェックポイントがあります(上図2枚目)。私たち歯科医師は、これらの基準で治療前には計画を立て、治療後に確認して評価することができるのです。
違和感のない食事は、前歯の裏側と奥歯との咬み合わせのバランスによって可能になります。
例えば、物を咬む時は顎の関節が働いて口が開閉します。それと同時に前歯・小臼歯が下顎を左右に誘導して、咬み切りと磨り潰しの2つの咀嚼運動をします。まさに顎関節と前歯・小大臼歯のハーモニーが重要です。
その時に注意しなければならないのは、開閉口時には前後左右の均等な歯の接触があり、また前後左右に下顎を誘導しているときは、上下の大臼歯は離れていることです。
これらのバランスやハーモニーは、咬合器(咬み合せを診る機器)で調べることができます。
咬合器はフェイスボーで上顎の歯の位置を計測することが重要です。
また、この診査機器は古くは100年以上も前から理論体系がありました(上の写真は初期の咬合器とフェイスボー)。
今まで感覚的に診ていた歯並びや咬み合わせを、咬合器に歯の模型をつけることで歯科医師が客観的に診査・診断でき、患者様に説明できるようになりました。ですが、日本の保険診療では残念ながらこの方法はできません。
今回のセミナーで、咬合器がハーモニックオクルージョンに必要不可欠であることを、受講生の方々に理解してもらうことができたかと思います。
千葉県松戸市 ひかり・歯科クリニック